アジア初導入となるプレパレーションシステムを搭載した「ベリーニ鹿児島」が平成26年3月7日にグランドオープンいたしました。
ワカマツ自動車 ベリーニ鹿児島HP:https://wakamatsu-j.com/bellini
なお、その様子が自動車業界サイト「レスポンス」に掲載され、Yahoo!ニュースにも掲載されました。
レスポンス 記事: http://response.jp/article/2014/03/12/219000.html
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3月7日、アジア圏初のプレパレーションシステムを導入した自動車塗装工場、「ベリーニ鹿児島」がオープンした。
同工場は、鹿児島県で中古車販売や板金塗装事業を営むワカマツ自動車の新工場として誕生。イタリアの工具、副資材、塗装販売会社ベリーニが、水性塗料による作業効率化をはかるべく開発した設備を投入している。
同日開かれたオープニングセレモニーには、同業者やメディア関係者など約100名が出席。ワカマツ自動車若松伸一常務から新工場開設の経緯やシステムの説明があり、ペインターによるデモンストレーションも行われた。
◆イタリア視察で決意した導入
今回のプレパレーションシステム導入はオートサプライヤーのスピーディ社による伊ベリーニ社視察がきっかけだったという。スピーディは以前から、イタリアの塗装業界視察研修や同システムのオペレーションをサポートしている。
現在は“決まったエリアを作業工程ごとに車が移動する”という流れが一般的だ。パテ付け作業・サンディング作業は板金エリアで行い、サフェーサー塗付・サンディング作業はまた専用のエリアに移動。塗装は塗装ブース、さらに移動し、研磨・洗車作業は別のエリアで行う。しかし、車を移動させるには労力も時間も必要だ。また、近年ではコンパクトカーの割合が増加しており、修理案件も小破のものが多い。
そのような状況のなかで、大幅な時間短縮を可能にするプレパレーションシステムの導入は、従業員の作業負担を軽減し、トータルコスト削減にも繋がる。また、使用する塗料も水性の独BASF社製「R-M オニキスHD」が採用されるため、環境にも貢献できるのである。
◆プレパレーションシステムの仕組みとは
では、そのシステムはどのような内容なのだろうか。主な設備は下記の5つ。
1.上下圧送式の吸気システムと排気システム
ブースには塗装を乾燥させるため、風を上下に送るシステムが備わっている。風速は0.5m/秒。これは国内塗装メーカーブースの0.2m/秒を大きく上回る速度だ。また、塗装箇所に合わせて部分的に空気をコントロールする「アクティブチャンバーシステム」も搭載されているため、品質の向上と時間・コストの削減を両立することができる。
2.簡易リフト
車のステップ、側面や下部の目線を高くしての作業が実現。従業員の身体的負担を考慮するととともに、作業スピードをアップさせるため、前ブースに採用された。
3.コントロールボックス
エアーコンプレッサーやスプレーガンなど作業する工程の中で使用する設備を全てこの中に入れているため、ブースから外に出る必要がなく作業効率を向上をはかることが可能。
4.消耗品収納ボックス
マスキングテープなどの作業時に用いる消耗品を収納する。こちらもブース内での作業完結に貢献するとともに、従来の塗装工場におけるイメージを変えシンプルかつ整理された印象を与えることができる。
5.近赤外線乾燥機REVO
水性塗料を短時間で乾燥させるには、鉄板部分まで熱を加えなければならない。REVOは短波の波長を使用しているため、トップコート、ベースコート、下地も通り抜けることが可能だ。従来1パネルにつき15分かかっていた乾燥時間を4分に短縮させられる。
これらの設備が一揃いでブースに投入されているプレパレーションゾーンは、横に並べることでさらなる効率性を発揮するという。始めは2基のみの導入も考えていたというワカマツ自動車だが、社長の若松利秋氏は「いずれこのシステムは日本でもメジャーなものになり、数も増やすことになるだろうと考え、4基入れることを決意した」と話す。
◆若者にも興味持ってもらえる“夢の工場”に
ワカマツ自動車の創業は1984年。現在は6名の塗装スタッフで月間200件の塗装板金修理をこなす。「数年前から水性塗料の導入は検討していたが、作業工程の難しさもありなかなか実行できなかった」と話す若松利秋社長。しかし、このプレパレーションシステムをイタリアで実際目にし、思い切って導入することにしたという。
「昨今は若者のクルマ離れが問題視されており、塗装業界も汚くて辛いという印象が強い。効率性や利便性はもちろん、そのイメージを覆すスタイリッシュなブースを十代の若い人たちに見て触れてほしいと考えている。また、現在働く従業員への労いの意味も込めた導入。未来を切り拓く“夢の工場”と言えるだろう」と語った。《取材:吉田 瑶子》